絡繰仕掛の継接ぎ喋々
□始まりの音と青の狂気
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―――ぱっぱ〜っ
「マぁ〜スタ〜あ!!がっくぅ〜ん!!」
マスターと2人での「仕事」帰り。音がした先に黒塗りの車。運転席の窓から身を乗り出し手を降るのは
「……KAITOか。」
我と共に主の使役となったロイド、始音KAITO殿だった。そんなに叫ばずとも、聞こえると云うのに………
「…世話をかけたな。」
「いいえ!!マスターのお役にたてて、とっても嬉しいです!!」
労いの言葉を下さるお優しい主に、満面の笑みで応えるKAITO殿。なんとも微笑ましい。
―――ボーカロイド界、初代の男性ロイド。しかし、その肩書きを鼻にかける事も傲る事もなく、主殿に忠実できちんと立場を弁えている。
主殿には我ら以外にも複数の配下を従えており、必然的に我らは新米扱い。そんな中でKAITO殿はいつも笑顔を絶やす事なく、常に友好的に、しかし相手を敬う事を決して忘れない。
同じボーカロイドとして彼はとても誇らしい存在だと思う。
「がっくん!!早く乗って!!」
急かす声で現実に引き戻される。
「あぁ…すまぬ」
後部座席に乗り込むと、甘い香りで満たされていた。……恐らくは彼のせいだろうが、もぅ慣れた。
―――そうして車は主殿の自宅へ。