シンジャ小説
□惚れたが負け
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「…期待した俺が馬鹿だった」
ジャーファルかもって。
痛みを無視して起き上がらなきゃ良かった。
「失礼ね、折角心配して担当を変わってもらったのに」
長い髪がふわっと揺れて、シャンプーの香りが部屋に広がった。
小さいころから嗅いでいるからなのか、なんだか安心する香りだ。
俺も同じシャンプーを使っているのに、こうも違うとなんだか不思議だ。
「俺、どれぐらい寝てたの?」
「七時間ぐらいかしら」
となると今は放課後か。
「………お腹空いた」
「あら、食欲はあるの?」
額に手を当てられた、熱がないことを確認されている。
「あぁ」
「それなら少し安心したわ、一人で帰れる?」
「ん」
心配し過ぎだと適当に返事をする。
「鍵は持ってる?私も晩ごはんまでには帰れるようにするから」
「うん……母さん、あのさ…」
「どうしたの?」
「俺…運命のやつに会った」
「…あー、うん、シン、良かったわね」
適当な返事をされた。