シンジャ小説
□惚れたが負け
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「………ん?」
どこかで見た覚えがある天井。
固い枕とベッド。
嗅ぎ慣れた匂いがかすかに混ざっている。
あぁ、そういえば意識を失ったんだっけ。
…あれはジャーファルで間違いないのだろうけど、あいつに記憶がなかったらどうしようか。
今回ジャーファルの性別は女だし、前回より結ばれるまでの時間は早いといいなぁ。
でもジャーファルのことだ。
鈍感の代表例と言ってもいいのではないのだろうか。
……あまり期待はしない方がいいな、うん。
そもそも俺は何時間ぐらい眠っていたのだろうか。
時間がいつごろなのかが気になり、窓を見るために起き上がる。
「…っ!」
じーんという痛みを頭部から感じる。
意識を失って倒れたときに頭でも打ったか。
「……ジャーファルがいればなぁ…」
…正しくは前世のジャーファルだ。
あいつが記憶を持っていれば頭を打つなんてことはなかった筈だ。
「くそ、なんで……覚えてねーんだよ…」
ベッドのシーツを少し乱暴に握りしめる。
…と、同時にドアが開けられる音がした。
「………シン?」
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