シンジャ小説
□惚れたが負け
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まただ。
この夢を見るのは一体何度目だろうか。
広い寝室のベッドに男が二人で寄り添い合っている。
一人は、俺だ。
俺の髪を愛しそうに撫でているもう一人の男は、俺の従者で恋人だったジャーファルだ。
ジャーファルが口を開く。
「私が女だったら、貴方の子供を生めた」
「ジャーファル……」
俺は彼の頭に手を置いて、撫で始めた。
まるで子供を宥めるように。
「ですが、女でしたらそもそも貴方に拾われなかったかもしれません。……最悪出逢えていなかったかもしれない」
ジャーファルは強い意思をもった瞳で、俺を見つめる。
「そうかもしれないなぁ。……お前が男で良かったよ」
そう言って、俺は手を彼の頭から頬へと移動させた。
「私もそう思います」
ジャーファルが俺の手を両手で撫でた。
ここでいつものように、夢は途切れた。