シンジャ小説
□発情期
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『ジャーファルさん!今日は転校生が来る日だよ!!』
教室に入るなり、嬉しそうな友人にそう報告された。
友人曰く、両親の仕事の都合で日本に戻ってきたそうだ。
所謂帰国子女というやつかと思いながら、一番教卓に近い自分の席へと座ると、友人たちに転校生について聞かせられることとなった。
しばらくすると先生が教室に入ってきたので、皆自分の席へと向かった。
皆が自分の席に座り終わったとき、丁度閉まっていた教室のドアが開く。
するときゃああああああ!!!!!!と女子たちの甲高い声が教室に響き渡った。
よくあんなに高い声が出せるなと思いながら、ドアの方角を見ると金色の瞳と目が合った。
目が合い続けていることからすると、どうやらずっと見られていた様だ。
あそこまで顔が整っている人にじっと見られると落ち着かないし、恥ずかしい。
寝癖でもついているのかと思い、鞄から鏡を取り出そうと下を向いた。
そのとき、綺麗な紫紺の髪が揺れるのが目に入った。
「…?」
気になって上を向いた瞬間、肩を思いきり掴まれる。
「…ジャーファル?…ジャ…ジャーファルなのか…?」
彼は私を信じられないものを見るようにこちらをただ見ている。
私はというと、なぜ会ったこともないのに自分の名前を知っているのかという事で頭が一杯で言葉が出なかった。
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つづく