ワンパンマン
□忍者と研究者
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俺にとっては単純なことなのだが、どうも彼女にとっては違うらしい。
「…」
「おい、いい加減返事をしろ」
「…待て。本当に脳が処理しないんだ。え、ソニックは今…」
「お前が好きだと言ったんだが」
「…はあ」
はあ、とはなんだこいつ。この俺が告白しているというのに。
「すまない。研究者というのは処理できない事態に陥ると自慢の脳みその活動を停止させる生き物なんだ…」
「…」
な・ん・で・お・れ・が・こ・ん・な・や・つ・に!
「後、これはなんて言えばいい?ありがとうか?いや、それは言うべきだろうけど、その後だな、後」
「貴様の頭は石でできているのか?」
「石、か。面白いこというね。じゃあソニックの頭はこんにゃくだ」
「せめてダイコンにしろ!」
「私的には餅巾着も負けてはいないんだが…」
「誰がおでんの話にしろと言った!お前は俺の返事を先伸ばそうとしているのか!?」
反射的にクナイを構えると、白衣を着た石頭の女は緩くほほ笑んだ。
「ううん。ごめん。おでん好きなんだ。それだけ」
「俺も好きだがな。おでんも貴様も」
「…もしここでふったら、君はどうする?」
「どうもしない。お前が色よい返事をするまで毎日これを言いに来るだけだ」
「…まいったな」
参るほどには…あまり好かれていないということなのだろうか。だとしても俺には関係ない。もし彼女が俺に無反応になったとしても言い続けるだろうし、彼女の敵を裏側で殺しまくるだろう。今と何も変わらない。
「…そろそろ任務の時間だ。また明日来るぞ」
「そうか。次に来た時のためにおでんを買っておくよ」
「はんぺんも忘れるなよ」
「それはゆずれないね」
また緩く笑んだ後、彼女は俺に背を向け、そのまま去ろうとして――。
「…ソニックは知らないだろうけどね」
「?」
「私はね、意外と照れているんだよ」
「…は?」
そのままそこらへんのガキにでも捕まるスピードで駆けていった彼女の背中を、アホみたいに呆然と見送ることしかできなかった。