ワンパンマン

□宇宙人拾いました。
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目覚ましのならない素敵な休日の朝。
それなのになぜか普段ですら惰眠をむさぼっている朝の五時に私は目を覚ました。
待て。三時間しか寝てないぞ私。

「くそ、身体痛い…」

ソファとは思ったよりも快適じゃない。今度はちゃんとお布団敷こう。
さて、宇宙人はどうなっているのか。まあ三時間で宇宙人とはいえ変わるとも思えない。
寝室のドアを開けた。

「……」

前言撤回。宇宙人ぱねえ。
真っ黒に焦げていた身体は汚れを残して正常なものに戻っていた。
灰色の肌が正常なのかはわからないし、ピンクのふさふさな髪の毛は予想にしていなかったものだった。
これが宇宙人。
それでもあの大きなひとつ目は見えなかった。

「でも明日には起きるね、これは」

ハンカチを水で濡らしてそっと拭いていく。煤のようなものでハンカチは一瞬で真っ黒。

「身体、は自分でやってもらおうかな…下手に触手とか出てきたらいやだし」

手を拭いていたら爪でハンカチが破けました。ちゃんと爪きっとけや。

「安心したぞー。ちゃんと息してるね」

答えない宇宙人に話しかける。

「眠いぞー。なんでこんなに早く起こした」

自分で言っておいて気付いた、そうか、宇宙人君は私を起こしたのか。

「まあちょうど三時間周期で浅い眠りだったから簡単に起きれたけどさ、それ以外の時だったら私起きれないよ」

ふぁああとあくび。

「もうひと眠りしてくるね。じゃあまた」

くるりと背を向けた私は気付かなかった。そのあとピクリと宇宙人の指先が動いたことに。

***

身体がゆすられている。あれ、もしかして今日誰か遊びにくる予定だったかな…。

「ごめ…もうちょっと寝かせてくださ…」

「起こせと言ったのはそっちだろう」

呆れた男性の声がした。

「…」

「起きたか」

灰色の肌。ピンクの髪。

大きな、新緑の一つ目。

「…宇宙人?」

「確かに地球ではそう形容されるが不快だな」

「はあ…」

なるほど、あの宇宙人君が私を起こしたらしい。
それにしても、うぅん…人間が宇宙人見てこんな反応でいいんだろうか。

「…あれ、包帯は」

「ああ、必要なくなったから燃やした」

「もやっ…よく火災報知機鳴らなかったな。もう要らないものがあっても燃やさないで下さいよ」

「善処しよう、…それにしても驚かないな、人間。普通はもう少し反応を見せるだろう」

「まるこげの貴方を手当てしたからか特に怖くもないです」

よいしょと起き上がると改めてまじまじと観察してみる。
が、やっぱり気になるのは目なんだよねえ…。

「いやあ、別の意味で驚いたな。もっとえげつない色合いかと」

「眼の色がおもしろくても生物的になんのメリットもない」

ふんっと鼻を鳴らす宇宙人君ですが…こいつ恩の字も態度に出さないな。
うん。瞳は綺麗だ。赤ちゃんみたいに濁りがない。

「それで宇宙人君」

「ボロスだ」

「…ボロスさん、地球の食べ物は受け付けてますか?」

私が聞くと訝しげな視線をよこした。ギョロリと新緑が動く。

「…俺の種族の胃袋は毒も溶かすぞ」

「何も盛らないわ!…んじゃあちょっと座っててください。なんか作ります」

よっこらせと立ち上がると入れ替わりに座った。あらあら中々素直じゃないですか。

「お前は?」

「はい?」

「お前の名は」

「ああ、シオリです。蒼霧シオリ」

「そうか」

少し考え込むようにしてからぽつりと

「恩に着る…蒼霧シオリ」

「いえいえー」

その時「これって地球が侵略されようとしてる?」なんて思ったけど、お腹がすいたので後回しにすることにした。


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