ワンパンマン
□性別逆転
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俺には今同棲している人がいる。
ひょんなことから公園で拾ったとかもう俺自身よくわからんのだけれど、それなりに楽しい毎日だ。
まあ、問題点といえば、その人が『地球外生命体』であるということと、
「おいシオリ、次風呂使っていいぞ」
「あぁ、はやかったっ、」
外したばかりのパソコンメガネが手の中でみしりッと音をたてた。
短パンからすらりと伸びている脚。
キュッと引き締まった腹筋。
長い髪が覆っているが、その先にある豊満なバス――
「服を着ろっつってんだろおおおおおおおおお!!!」
問題点といえば、ボロスが女性であったということだろうか。
***
「別にいいではないか。こういうのを『減るものではない』というのだろう?」
「減ります。主に俺の精神力が」
無理やり服を着せたボロスを正座で説教だ。
ああ本当に、ボロスは俺が貧弱なりにも男だというのを忘れているのだろうか。
「服なぞ窮屈なだけではないか」
「あ の さ。郷に入ったら郷に従えよ。特にボロスは女性なんだ。いつどこで襲われるか分かったものじゃないだろ?」
はあ、とため息が出る。
なんか頭まで痛くなってきた気がする…。
しかし当の本人は大きな目をぱちぱちとさせた。
「シオリ…それは本気で言っているのか」
「当たり前だ!」
「…お前、私が宇宙人だと忘れていないか」
「は?覚えているに決まっているだろ」
一つ目の地球人はいるかもしれないが、ここまで綺麗な形な者はいないだろう。
ていうか本当に、『何をいまさら』、だ。
「っく、くははははっ!」
「!?」
突然、ボロスが大笑いしはじめた。
「な、なんだよ」
「お前は本当におかしな男だな、シオリ…!」
彼女はにんまりと笑った。
「いいか。たとえどんな地球人の男が襲ってきたところで、顔を見れば逃げる。逃げなくても私が殴れば一発KOだ。…まあ、サイタマが除くが」
そんな『化け物』を、お前は女性として扱うのだな?
俺は眉間にしわを寄せた。
「もともとそのつもりだったが」
「いやあ本当に…覚悟しておけよ、シオリ」
離す気は、毛頭もないからな。
次の日から、俺は見事に理性との戦いになることを、このときはまだ知らない。