ワンパンマン

□いつかの未来
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もう夏も過ぎ、空が美しい季節になった。

「うひゃーあったかい。ボロスただいまー」

「おかえり」

リビングで座っていた彼は私をみるとふっと笑った。

「耳と鼻が赤いぞ」

「うっさいバカ」

マフラーを外していると近づいてきたボロス。そっと、耳に触れる。

「…冷たいな」

「おー、ほぐれていくー…」

ぽすん、とボロスの胸板に身を任せると疲れがどこかに飛んでいく気がした。うりうりと頭をこすりつける。はー幸せ。
と、食材のことを忘れていた。

「あ、ちょっと待ってね。今日はデザートあるよ」

***

夕食後、本を読んでいた彼の下に団子をもっていく。

「ほら、団子と日本茶」

そういうと実に嬉しそうな雰囲気を出すボロス。うん、最高の組み合わせだとは私も思いますけどね。

「今日はね、お月見しようと思って。ほら、ウサギがおもちついてる」

「お月見、か。実際の月は岩石で、実際に降り立ってみると…」

「夢のない話、だめ絶対」

ベランダに出ると再び寒さが襲ってくる。だけど日本茶のおかげか。さっきよりマシだった。

「はー、おいしー」

月見団子をもぐもぐ。最高である。
だけど、隣のボロスは月ではなく、私を見ていた。

「うん?どうした?」

「…月は、本当に味気ないものだ。生物もいない、死んだ星だった」

「あのだから」

「だが」

目が、細められる。

「お前と見る月は…綺麗だ」

思わず赤面すると、いつものようにくっ、と笑う。

ああ、もう。

「私、あなたになら殺されてもいいわ」

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