ワンパンマン
□夢
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――ぃ
――おい
「おい起きろ小娘!」
「…?」
目を開けるとあらびっくり。見える景色全てが全て闇だった。ここまで来るとまるで宇宙に浮かんでいる気分だ。
ところで私は誰に起こされたのだろう。
「ここだ!いい加減にしろ!」
「っうおう!」
足元見てビックリ。闇とはまた違う「黒」の生物が私を見上げていた。なんか…タコみたい。
「タコとはなんだ貴様」
「あれ、もしかして私の心読めちゃう系ですか」
「ふふん。聞いておどろけ!俺はゲリュガンシュプだ!世界一の超能力者だぞ!」
「ゲル…なんだって?」
「ゲ・リュ・ガ・ン・シュ・プ!!」
「あーうん。ゲがつくタコさん」
「タコじゃない!宇宙人だ!」
「…宇宙人?」
ふと公園で拾った同居人の顔がチラチラ。
いやーあれ以外で来られてたら地球終わりますよね。
「お前に…色々言いたいことがあって、我ら一同黄泉の国から舞い戻ったッ!!」
バッバッと、私を四方八方から囲むように、怪人とも呼べる奴らが現れた。
「あれ、これって死亡フラグ?」
「そうしたいのは山々だが」「何せもう実態がないんだね」「だからゲリュ…奴の力を貸してもらって君の夢にお邪魔ってわけさ」
「タコさん身内にも名前覚えられてないじゃん」
「お前ら覚えていろよ…」
っていうかここ夢かー。なるほどなるほど。朝起きて忘れてないと良いんだけど。
「で?ご用件はなんでしょう」
「ボロス様のことだ」
その瞬間、騒がしかった空間は一瞬にして静寂へ。
「ボロス様は生まれてこのかた、戦闘というものしかしなかった。生まれた星のせいでもあったし、またあの方自身の強さのせいでもあった。だから」
ふわり、浮く。私の身体。
「お前のような者と出会えたのは…あの方にとって、きっと幸せなことなのだろう」
ゆっくりと、お辞儀の波が広がっていく。
「何言ってるんですか」
ああ、彼は
「彼は、貴方達全員に会えたことを誇りに、そして幸せに思っていたと思いますよ。今も」
一瞬、すべての動きが止まった。
「…小娘は、ぬるま湯のような思考回路だな。だが…ありがとう」
高く。高く。浮かぶ。浮かぶ。
「ありがとなー」「ボロス様によろしく」「おうちかえれー」「幸せになー」
「いいことを教えてやろう。いいか、目が覚めたらこういうんだぞ…」
***
パチッ
シオリは朝の7:30ぴったりに目が覚めた。
「今日は早いな」
同居人はいつ起きたのかコーヒーをすすっていた。
「あー、おはよ。なんでだろうね。すっごくスッキリ。私にもコーヒー頂戴」
「自分で淹れろ」
「えーケチ」
ふと彼女は夢の最後の言葉を思い出す。
ためしてみようと好奇心。
「いいでしょーお願いしますよ。ね、ボロス様?」
「っ!?ごほっごほっ!!」
「うわ!大丈夫!?」
「っ…ああ」
「…ボロスってさーほんと、良い部下を持ってたんだねー」
「ふん…当り前だろう」
彼は先ほどの失態など大気の外へ。いつものように口角を釣り上げた。
「俺の部下だからな」