どうぶつ日和
□泣きたい時は泣けばいい
2ページ/9ページ
「行ってきます」
小さく呟いてドアノブを回す。この声に返ってくる言葉は、今日も無い。
重いドアを閉め、鍵を掛け、ふと表札を見る。プラスチックの板に彫られた三人の名前。
「……もうアタシの名前だけでいいんじゃないの」
乾いた笑いが朝のマンションに少しだけ響く。
私の名前は志倉 玲。この名を授けてくれた二人の志倉さんとは、しばらく、いや、ずっと長い間会っていない。
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ