どうぶつ日和

□おとまり
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ドライヤーで髪を乾かすのに集中するうちに、気持ちはだいぶん落ち着いたらしかった。顔の熱も先程とは違うものになっている。

部屋に戻ると、アキはベッドの上でゴロゴロしていた。お菓子類が片付いている所を見る限り、寝る準備は万端らしい。
ニコニコしながら毛布をめくり、ポンポンと自分の隣を叩くアキ。そこ、アタシのベッドなんだけどなぁ。

「布団敷いたのに……よいしょ」
「いらっしゃ〜い。私はこっちがいいのっ」
「だったらアタシが布団で寝るのに」
「一緒がいいって意味だよ」

ぎゅっと抱きついてくるアキ。応えるように優しく抱き返す。

「はいはい」
「まぁ玲ちゃんもこっち来てるしね〜素直じゃないなぁ」
「たまにはいいじゃん」
「はいはい♪」

小さく笑い合いながら、互いに抱きしめる。目が合えば、ちょっと見つめ合って、触れるような軽いキスをする。アキとキスをするといつも愛しさで胸が満たされる。服越しに伝わる体温とわずかに聞こえる鼓動が心地よい。
何度目かのキスをし、アキが首元に顔を近付けて甘えてきた。こういう所がやはり可愛らしい。アキとこうしていると、何だか穏やかな気持ちになる。なっていたのに。

 
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