どうぶつ日和
□おとまり
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ソファーに戻って、お茶を一口。よく冷えた飲み物は頭を冷やすのにちょうどいい。……アイス?知らない子ですね。
ぼーっと眺めていたテレビは、いつの間にかバラエティー番組ではなくニュースを映していた。コップを口に運びながら、何となく部屋を見渡す。視界に入った物を認識して、アタシは盛大に咳き込んだ。
だって、入浴中である彼女のパジャマがきれいに畳まれたまま放置されてたら、誰だって慌てるに決まってるじゃないですか。
ガチャリ。
パジャマを持っていくべきか席を外しておくかの判断もできないうちに、お風呂のドアが開く音がした。タイミングが良すぎますね、狙ってんの?
何にせよ、このままはまずい、避難せねば。固まっていた体に鞭を打ち、別室へ行こうと立ち上がり廊下へと急ぐ。ドアを開けると、目の前にはアキが立っておりました。
体にバスタオルを一枚巻き付けて。
(速すぎない!? あぁ、アタシが動き出すまでが長かったのか。パニック恐るべし。)
なんて冷静に状況判断。視覚からの情報は処理しませんできません。
「パジャマ持ってくの忘れてた☆」
「あ、あっはっはー、アキはドジだなぁ!」
「さすがに自分でもびっくりしたよ〜」
この立ち位置は非常にまずい。アキの顔を見ると強制的に胸元が目に入る。あぁ、身長差……!
「じ、じゃあ、アタシ入ってくるね」
「玲ちゃん玲ちゃん」
「な、に」
「顔、真っ赤っかだよ」
「!!!? かかか風邪引くから早く着替えろ!!」
そばにあった私のパジャマをひったくってお風呂に逃げる。
あんなに楽しそうな顔しやがって、あの子は、あの子は!!!
逃げ込んだお風呂も、湯気と一緒になったアキの香りでいっぱいで。
ただただ水で顔を洗うしかなかった。