どうぶつ日和
□おとまり
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ところで、いつの時代も平穏は壊されるためにあるらしい。
安らかな眠りは何者かの襲撃(主に下腹部)によって妨げられた。
「玲ちゃーん、起きてー!」
「ん、アキ……? ……って、はぁ!?」
「あ、おはよう玲ちゃん♪」
「何でお腹に乗ってるんですかねアキさん……?」
「なんとなく? ってか寝てるなんてひどい〜」
あぁ、姫、跳ねないでください。いくら軽くてもそれなりにダメージが……うっ。
結構寝てしまっていたらしい。ちょっと日が傾いてる。
「ごめんって……てか、どうやって入ったの?」
「鍵開いてた!!」
「あー、そりゃしゃあないか……」
余所でやったら捕まるからね、アキ。
上半身を起こしたはいいものの、まったく太ももから降りようとしないアキ。動けないんだけどなぁ。
「アキ、降りて」
「寝ぼすけさんは反省しなさい〜」
「……」
向かい合ってるこの状態で両手を伸ばすってことは、そういうことですよね。笑顔がまぶしすぎるぞ、可愛いすぎるわこの野郎。
目の前の恋人の背中に両腕を回して、ぎゅっと引き寄せ抱きしめる。かすかに伝わる心音が、体温が、心地いい。
「うふふ、久しぶりだね〜♪」
「ん、やっぱいいにおい」
「玲ちゃん変態っぽい〜」
「……落ち着くんだから仕方ない」
「え〜」
生意気言う口は塞いでやろう。
短い葛藤の末、軽く触れるくらいのキスを落とす。自分からするのは、その、やっぱり、慣れないな、うぅ。恥ずかしくなってアキを抱きしめると、右頬に柔らかい感触。いたずらっぽく微笑むアキを見つめて、どちらともなくキスをして、ふふと笑いながらまた抱きしめる。
あたたかい気持ちに包まれながら、今回のお泊まりは始まった。
このあと胸を堪能し始めたアキを放り投げたのは言うまでもない。