どうぶつ日和
□おとまり
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夕飯の後片付けを終え、自室でアイスをのんびりと堪能する。ほんのりと酸味の効いたレモン味がクセになる。アイスを食べても体が冷えないのは、隣で私にくっつきながらアイスを口に運ぶアキのせいだろう。
ぼーっと眺める私の視線に気づいたのか、アキはアタシの方に向き変えると、スプーンをこちらに向けた。
「はい、あ〜ん♪」
しかも甘いセリフ付きだ。本人は平気でも、アタシにとってはかなり恥ずかしい。アキはそんな言動が多すぎる。こっちの身にもなってください……。
悶々としていると、お風呂からメロディが流れる。お湯がたまったらしい。助かった。
「あ、お湯止めてくるわ」
さっとアイスを口に入れ、風呂場へと向かう。味を堪能する余裕? そんなのあるわけないじゃない。
少しだけ息を整えて、リビングへ。私を見つけた瞬間、ふにゃりと微笑む。あぁ、だからズルいって。
「おかえりー」
「はいただいまー。先にお風呂入ったら?」
「んーそだね〜」
よいしょ、と立ち上がるアキ。
「あ、そうだ玲ちゃん」
「何?」
「一緒に入る? お風呂」
言いながらお腹を見せたりなんてするもんだから。せっかく落ち着けた頭がまた沸騰するだろ、けしからん!
「は、入らないよ!! あー、行ってこいって!」
「玲ちゃん面白い、ではお先に〜♪」
はぁ、とため息をつく。アキには振り回されっぱなしだ。……上機嫌そうならそれでいいか。
もう一人のアタシが、お前はアキに甘過ぎる、と呆れている。
まぁ、その、自覚してないわけじゃないのよ。許してください。