どうぶつ日和

□たとえるなら
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【紫水 晶の場合】

こんにちは、玲です。
アキと付き合ってから、早くも一年が過ぎてしまいました。
時間の流れって怖いですよね。

そういえばさっきの「動物っぽい」発言ですが、アキは凄く当てはまると思います。可愛いし、あざといし、ウサギだし。
というわけで、今回はアキの言動をちょこっとお見せしたいと思います。


――


「れーいちゃんっ!」
「うわっと……おはよ、アキ」
「おはよー! そしておっぱよーん!」
正面から抱きついたかと思うと、そのまま玲の胸に顔を埋める晶。

「ちょ……くすぐったい、から、やめ……っ!!」
「んーやだー」

ちなみにここは教室である。

「あ゛ああああやめろ!!」
「あーん、玲ちゃんのいけずぅー」

晶の肩を掴んで、自分からひっぺがす。ぶーたれているが、当たり前だと言いたい。

「毎朝それするのやめてくんない? その、皆だっているんだし」
「えーケチーーー」
「ダメなもんはダメ」
「ちぇー、でも」

玲にぎゅっと抱きつく晶。

「今日の玲ちゃん分は補給出来たからいいやー♪」

上目遣いでニコッと満足そうに微笑むその顔は、玲には天使に見えるらしい。さっきの怒りはどこへ行ったのか、無言で晶を抱きしめている。
気をよくした晶が耳元で囁くには、

「……二人のときにいっぱいしたげる」

「いひゃいいひゃい! れーひゃん、ほっぺ! ほっぺ!! ごめんいひゃいぃぃぃ」


「玲ちゃん」
「何ー?」
「そろそろ帰らないの?」
「もちょっと勉強する」
「まっじめー! 何すんの?」
「数学」
「そっかー……」
「アキもやれば?」
「うんー」

返答とは裏腹に教室をうろうろする晶。玲が問題を解くこと10分、ふいに後ろから抱きつく晶。

「かまえ」
「…………」
「ってか一緒に帰ろー?」
「…………」
「ねぇねぇー……」ギュウウ
「…………分かった」
「わーいっ!」


「わ、こんな時間だったのか」
「だから帰ろって言ったのにー」
「ごめんごめん」
「あ、靴紐ほどけてるよ」
「ん、ちょっと待って」
「……玲ちゃん玲ちゃん」

返事代わりに振り返ると晶の顔が思ったより近くにあった。

「スキありっ♪」
「……不意討ちは禁止だとあれほど……」
「でもドキドキしたでしょ? 玲ちゃんピュアだからな〜」ニヤニヤ
「……」スッ
「ほっぺ禁止!!」バッ
 
 
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