どうぶつ日和

□なれそめ
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「ふふふ♪」

上機嫌に帰路につく人影が一つ。
夕日に照らされた茶髪が楽しそうにふわふわと跳ねる。

「まさか同じクラスで出席番号が一つ違いだなんて! もはや運命だにゃ〜♪」

満面の笑みでスクールバックを抱きしめているのは、紛れもなく晶である。

「入試から忘れられなかったんだよね、一目惚れだったの! ……なーんて言えないし」

高校受験のあの日、試験会場となる教室を校内地図で探していると、スッと横に現れた彼女。

「あの、2-Aってどこか分かる?」
「へ!? ええと、多分ここじゃないかな、二階みたいだけど」
「そっか、ありがと」

スラッとした身長、まっすぐな緑色の瞳、肩まで伸びたキレイな黒髪、そして、柔らかい笑顔。

「見た目だけでもいいのに、あんなイケメンスマイルされたら惚れるって!」

振り回されたカバンが電柱に当たり悲鳴をあげる。

「だがしかし! これは神様からの素敵なプレゼント……神は言っている、黒髪の君とイチャつけと……!」

「黒髪の君」とは、晶が玲の名前を知るまで勝手に呼んでいたあだ名である。

「待ってろ、玲ちゃあああん!!」
玲のハートを射抜く、そう闘志を燃やす晶であった。



……ちなみに、玲が「黒髪の君」のことを知って赤面するのは、二人が付き合ってからの話。
 
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