どうぶつ日和

□おとまり
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三日間と長く続いた中間テストも最終日。成績がつくとはいえ、問題を解くだけで昼には解放してくれるこの期間は、なかなかどうして嫌いにはなれない。
……もっとも、隣で反省会を行っている彼女にとっては違うらしいが。

「そう唸んないの、完全に変な人だし」
「だってぇ〜……はあぁ、せめて問題集だけでもやっておけばぁぁぁぁ……」
「反省会なら家でやればいいでしょうが」
「玲ちゃんは頭いいからぁ……うえぇ……」
「前もってやらないアキが悪い」
「うぅ……下向いてたら酔った、介抱しろー」
「はぁ? 意味わかんな」
「拒否権はなーいっ」ギュッ
「こんなとこでくっつくな!」

ちなみにここは電車の中である。二人仲良く放課後デート……ではなく、ただ単に帰宅方向が同じなのである。結果としては、一緒にいる時間が長くなる訳だから、私も満更ではない。

「あ、次、玲ちゃんとこの駅だよ」
「ほんとだ。 っと、アキ、独り言は控えろよ?」
「はいはい、じゃ、また後でメールするね」
「了解。くれぐれも気を付けておいで」
「玲ちゃん過保護〜」クスクス
「うるさい」

じゃあね、とアキの頭を優しく撫で、ドアから降りる。
改札口へ向かうその足がわずかに跳ねたのを、車内の彼女は見逃さなかった。
 
 
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