ネガイ屋キラボシ堂

□第六話 過去のネガイ未来のオモイ
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空に輝く丸い月
腹を押さえて傷だらけでやって来る高校生の紡

紡「…ってぇ…アイツ等思いっ切りやりやがって…」

遠くから微かに聞こえる歌声

香百合「…心のカケラ貴方に包まれ…小さく…輝き始める…」

訝しげな表情で虚空を見上げる紡
何かに躓く

紡「歌?………っと」

倒れ込む紡

紡「…あー…もう歩けねぇ……くそ…ッ」

紡を覗き込む香百合

香百合「大丈夫ですかッ?」

小さく驚く紡

紡「え…?」

膝を付く香百合

香百合「こんなにボロボロで…すぐに手当てしなきゃ!」

香百合を睨み付ける紡

紡「やめろ!!人を呼ぶなッ!!」

首を傾げる香百合

香百合「…じゃあ呼びませんが…手当てくらいはさせて下さいね?肩に捕まって下さい」

紡「…女の肩なんか借りれっかよ」

紡の腕を肩に回す香百合

香百合「怪我人が何を言ってるんですか!ほらっ」

驚く紡

紡「…ッ!!」

薄暗い病室
包帯を巻き終える香百合

香百合「…はい、出来ましたよー」

ポツリと呟く紡

紡「此処…病院だったのか…」

念を押す香百合

香百合「でも単なる応急処置ですから、ちゃんと朝になったら病院に行って下さいね?…って病院に居ながら言うのも可笑しいですが」

視線を逸らしてお礼を言う紡

紡「あ…えっと…サンキュ…」

ニッコリと笑う香百合

香百合「どういたしましてっ」

訝しげな紡

紡「アンタ…俺が恐くねぇのか…?」

考える様に視線を上げる香百合

香百合「…そうですねぇ…血だらけの時はちょっぴり幽霊みたいで恐かったですけど…今は全然そうは思いませんよ」

紡「何で?」

ニッコリと笑う香百合

香百合「…だってお月様が傍に居るみたいじゃないですかっ」

不思議そうな紡

紡「月…?」

紡の髪に触れる香百合

香百合「外の月明りでキラキラしています…綺麗な髪ですね」

頬を染める紡

紡「…ッ」
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