緑のしおり

□優しい影
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それは僕とゼルダが大地で暮らし始めて数ヶ月後のこと。
僕は一人で森を探索していた。
探索中にとても古びた小屋を見つけ、僕は足を止める。
その木でできた小屋は腐蝕し、植物が絡みついてとても住めるような場所には見えなかった。
僕は植物の絡みつくドアを開け小屋の中に入る。
……特に何も見当たるものはなかった。
目につくのは小屋の中まで腐蝕して、毒々しいきのこが生えていることぐらいだ。
無駄足だったなと思い、引き返そうとドアを振り返った。

バキッ
「うわっ!」

突然視点が下がる。
何かと思い足元を見れば床が抜け落ち、片足が埋まっていた。
「……ん?」
よく見れば自分の足が落ちた場所だけほかの床と木目が違っている。
自分の足を抜き注意して見ると、そこに取っ手がついていた。
自分の足の穴が空いたその木を取り外すと下へと続く石の階段あった。
持っているカンテラに火をつけ、僕は階段を下り始めた。



コツ、コツ、と僕の足音だけが響く。
もうどれくらい下っただろうか。
軽く10分は超えている。
この階段に終わりはないのではないかという不安と、もう戻れなくなるのではという恐怖が胸の中でざわざわと音をたてた。
「……あ、」
階段が終わった。
目の前をカンテラで照らせば鉄でできたドアが現れた。
その威圧感にごく、と息をのむ。
ドアノブには鎖がかけられていて開きそうもない。
どうしようかとカンテラを脇に置き、鎖に触れる。
触れたその瞬間、何故か鎖はバラバラと砕け地面に落ちた。
不思議に思い落ちた鎖を拾う。
その鎖は錆びきっていて拾った鎖もまた砕けて手から落ちた。
これは鎖の役目を果たせなくなるほど昔の鎖なようだ。
カンテラを持って開放されたドアノブに触れれば氷のように冷たかった。
この先に何があるのだろうか。
どく、どく、と心臓の音が耳元で聞こえる。
意を決してそっとそのドアを開く。
そっと、と言ってもドアがものすごく重く、力を入れなければびくともしなかったが。
ギィーッと大きな音を立ててドアが開く。
……真っ暗だ。
夜なんかよりもっと暗い。
まさに『闇』という感じだった。
カンテラでその中を照らしてみるが、奥が全く見えない。
そのまま中へ入ろうと足を踏み出した。
その時。
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