緑のしおり

□その後。~4~
1ページ/7ページ

「あ、これ良さそう。」
僕は背伸びして木の実に手を伸ばす。
時に作ってもらった木のかごを持って食材集めをしていた。
食材集めと言っても、腹を満たすためではなく味を楽しむためのだ。
トワは料理がうまいということで何か作ってもらおうということになったのだ。
ちなみに時とトワは今新たな椅子を作っている。
今日は分担行動というわけだ。
食材集めのついでに辺りを探索しようと思っている。
「……あ、」
歩いていると洞窟を見つけた。
今まで見つけた洞窟よりずっと小さい。
四つん這いでなければ入れないような穴だった。
こんな所に何もないだろう。
わかっているけれど、何故か見過ごせない。
中を覗けば奥に微かな光。
どこかとつながっているようだ。
「……皆で行った方が楽しいかも。」
僕は入るのを止め、もうそろそろ椅子が作り終わって家に帰っているだろう二人の元へ急いだ。



「えっ、ええっ!?」
家に帰って僕は絶句した。
家の前に丸太が転がっていた。
周りに切られた木は見つからない。
ってことはこの木はどこからか運ばれたことになるが…
家の中に入ると新しくできた椅子に座って二人が話していた。
「お、空!おかえりー!」
「あ、ただいま…、てそうじゃなくてあの木!どうしたの!?」
僕が家の中から丸太を指差す。
すると時が笑いながら言った。
「それ驚くよな!トワが持ってきたんだよ。」
「も、持ってきた…!?」
「トワがすごい力持ちでさー!」
ね?と時が話をふるとトワは照れたように頭に手を当てる。
「ちょっと仕事関係で力には自信があるんだ。」
「なんか、すごいっていうレベル越えてる気がする…」
僕がそう言って食材の入ったかごを棚に置こうとすると時が目を輝かせた。
「おー!大漁じゃん!ちょっと味見させて!」
「だめだよ、トワに料理してもらうんだから。」
僕が言うと、不服そうな顔でしぶしぶ引き下がった。
「あ、ねぇそれより!気になる洞窟を見つけたんだ。皆で行ってみない?」
僕が笑顔で言うと時は表情をぱっと変える。
「おもしろそう!行く行く!」
「オレもー!」
トワの賛成ももらい僕らはその洞窟へ向かった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ