緑のしおり

□その後。~2~
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「で、出来たあー!!」
僕は思いっきり伸びをする。
やっと家が完成したのだった。
不格好な家だけれど丈夫なのは確かである。
少しずつ、少しずつ作って完成した喜びはすごく大きい。 
普通に月日を数えるときっと何年もたってしまったんじゃないかと思うくらい、時間がかかった。
でも、それは僕には関係ない。
死んでしまったこの身は老化とかには無縁だから。
家を作っている間、たくさん不思議な経験をした。
まず、おなかが減らない。
まあ、死んだのだからそうかもしれないけど不思議な感覚である。
でも、疲れるし、眠たくなる。
この違いはよくわからない。
次に辺りを探索していたときに見つけたいくつかの洞窟。
ある洞窟には暖かいお湯が地面からふきだして池のようにたまっていた。 
風呂にちょうどいいと通うようになった。
家に一番近い洞窟には、何故か消えない炎が台座のような場所に灯っていた。
お湯を沸かしたいときにありがたい。
まだまだこの世界には知らないことがあるんだな、とわくわくする。

最近、僕はハーブティを作るのにはまっている。
ハーブを見つけるのはゼルダに教わったことがあったので、なんとかできる。
ハーブはまわりの草花を枯らしてしまうらしいので、けっこう見つけやすい。
昔はハーブティなんて飲まなかったが、今はなんだか癒されるしちょっとした休憩の時にちょうどいい。
そのハーブティに果物を入れると一層爽やかになる。
辺りの木には意外とたくさんの木の実がなっているため、すぐ手に入るのだ。
この世界で食べ物といったらそれくらいだろうか。
お腹は減らないので不便はないが…
色々な種類の果物があるが、だんだん飽きてきてしまうのでジャムなんかを作ったりもした。
最初は焦がしてしまったが、慣れとは恐ろしいものである。
いくつか持っていた空き瓶にジャムを詰めておいてある。
もちろん、ハーブティに入れる用である。

僕は完成したその家の中に入る。
途中で作ったいすに座り、まわりをみる。
「……なんだか、一人じゃ寂しい広さだな…」
いす以外は何もない部屋を見渡して苦笑いする。 
「……じゃあ、次はテーブルでも作ろうかなー…」
一人呟いて外にでる。
僕はテーブルを作るのに必要な木を探し始めた。
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