緑のしおり

□揺れる影~4~
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僕はオルディン火山をあとにし、ラネール砂漠に来ていた。
湿気がないためそんなに嫌ではない暑さを持つ風が吹き抜ける。
進んでいくとあのロボット達が寂しげに転がっていた。
動かしてあげよう、と近くにある時空石を探す。
「…あれ?」
いつもは目立つところに置いてある時空石が見あたらなかった。
僕が首を傾げるのと同時にファイが姿を表した。
「マスターに報告。」
「何?」
ファイはスーッと動いてある一点で止まる。
「ここを見てください。時空石が以前置かれていた場所です。」
その場所をみると、確かに時空石をはめ込む所があった。
「ここにあった時空石を何者かが持ち去った確率80%。」
「それって…」
僕がファイと目を合わせるとファイはこく、と頷く。
「ゼグニスの仕業でしょう。」
「…!」
何をしているかはわからないが、とりあえずまずい状況なのは確かなようだ。
「ファイ、急ごう!」
「イェス、マスター。」
ファイが剣に入ったのを確認し走り出した。


「…はぁ…はぁ…」
僕は雷竜様がいる場所に急いだ。
そこに行く途中にもあるはずの時空石は一つもなかった。
最初はゆっくりしていた足取りがだんだん早まり、最終的には無意識に走っていた。
そして、いつも雷竜様がいる場所にたどり着いた。
「…な、なんで…」
そこには、見上げるほど大きな雷竜様の姿はなく、足元に無数の骨が転がっていた。
僕が最初にここに来て見た光景と一緒である。
この場所にあるはずのトロッコに乗った大きな時空石も姿を消していた。
僕は、胸にのしかかる重さに目をふせた。
その時、自分の足元に近くの扉まで続く長い何かの跡を見つけた。
「……?これ、なんの跡だろう?」
僕がしゃがむと、ファイがマスターソードから姿を現した。
「マスター、これは何者が時空石を運ぶ時についた跡である確率70%。」
僕がその言葉を聞いて素早く立ち上がるとファイは僕をみてこく、と頷いた。
「跡をたどっていくことを推奨します。」
「うん、行こう!」
僕はそう言って走り出した。
跡の続いている扉を開き、またその跡をたどっていく。
だんだん、目が乾いてきてまばたきを何度もする。
すると、突然ファイの声が聞こえた。
「マスター。」
「なに…いだっ!」
聞き返すよりも先にゴンッと額に衝撃がはしる。
「い、痛い…」
額をさすりながら前を見ると扉があった。
跡を見ながら進むことで精一杯で気づかなかったようだ。
「…言ってくれれば良かったのに…」
「ですから、マスター、とお呼びしましたのに。」
「…ごめん、僕が悪かった…」
そんな会話をしながら扉に手をかける。
確かここの先は砂漠の広がった場所だったはず。
少し懐かしい光景を思い浮かべながら扉を開けた。
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