緑のしおり

□揺れる影~2~
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朝日がまぶしい。
珍しく僕は一人で起きて身仕度を始める。
その間僕は昨日の出来事を思い出していた。

ゼグニスを倒すと決意した僕はいてもたってもいられず、家から出ようとした。
「まって、リンク!どこへ行く気!?」
「とにかく、何か手がかりを探さなくちゃ。」
僕がそう言ってドアノブに手をかけると、バドが僕の腕を掴んだ。
「この暗い中で何を探そうってんだ!明日の朝にしろ!」
「でも、こうしている間にスカイロフトの皆が苦しんでいるかもしれない!」
僕がはっきり言い張るとバドは、うっと食い下がった。
すると、ゼルダが僕の前に静かに歩み寄った。
「ねぇ、リンク。私も明日の朝出発した方がいいと思うわ」
「……どうして?」
僕も静かに問い返す。
「リンクに頼みごとがあるの。」
ゼルダは僕を見据えて言った。
「これから先たくさんの敵と戦うことになると思うわ。だから……」

「マスターソードを使ってほしいの」

「え、いいの!?」
僕が驚きの声をあげるとゼルダは力強く頷いた。
「マスターソードなら、リンクの力になってくれると思うから。」
ゼルダはそう言って微笑むと、僕の手を握って続けた。
「マスターソードを取りに行くのは明るくなってからにして、危ないから。」
お願い、と頭をさげるゼルダを見て僕はしぶしぶ了承した。

身仕度を終え自分の部屋をでると、今回はまわりが暗いため家に泊まったバドとゼルダが話をしていた。
ゼルダは僕に気がついて目を丸くする。
「リンクが自分から起きるなんて…!」
雪でも降るのかしらと驚いたように口に手を添えた。
「もう、からかわないでよ」
僕だって一人で起きれます、と頬を膨らませてそう言うとゼルダはくすくすと笑った。
「ふふ、ごめんね。あまりにも珍しかったものだから」
僕とゼルダは顔を見合わせてお互いに吹き出した。
「そんじゃ、行こうぜ。」
「うん。」
そして、三人で一緒に歩き出した。


「…うわー、久しぶりだな」
僕の声が神殿の中で反響する。
「オレは昨日ぶりだけどな」
バドはそういって頬をかいた。
そっか、バドはここに居座っているのか、と思い出しながら歩く。
そして、マスターソードの前で歩みを止めた。
「リンク…」
ゼルダが心配そうに僕を見る。
「うん。」
僕は両手でマスターソードの柄を握った。
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