緑のしおり

□揺れる影~1~
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夕焼けがおわり、ロフトバードの上で冷たくなった風を頬に感じていた。

僕はスカイロフトへ急いでいた。
完全に暗くなるとロフトバードの目が利かなくなる事もあるが、ある事がきっかけで僕の鼓動が焦りで高鳴っていた。

それは数分前のことだった。

「リ、リンクっ!大変だっ!」
僕らの家の扉を壊す勢いでバドが入ってきた。
この家は終焉の者を倒した後、地上に住むためバドが作ってくれた家なのでなんともいえないが。
バドはこの家には住まず、神殿に居座っていた。
ゼルダと僕のために空気を読んでやる、と笑っていたが、僕にはその意味がいまだに分かっていない。
その日からしばらくたった今日の昼にバドは久しぶりにスカイロフトに行ってくると出かけて行ったのだ。
ちょくちょくスカイロフトに出かけることはあったが一時間程で帰ってくることは珍しかった。
思ったより早い帰還に夕飯を作っているゼルダが目を丸くする。
「あら、早かったのね。何してきたの?」
「あ、あぁ、必要なものを取りに………って、そうじゃなくて!」
バドはがしっと僕の両肩を掴んだ。
「大変なんだよ、リンク!」
「な、なに、どうしたの?」
僕はバドの焦りように戸惑う。
「スカイロフトのみんながおかしいんだ!」
「お、おかしい?」
「どういう事なの?バド?」
バドの言葉に僕はまゆをひそめる。
ゼルダは夕飯づくリを中断し、バドの説明に耳を傾けた。

バドの話によれば、スカイロフトに着いていつものように部屋に向かったそうだ。
そして、自分の部屋のドアを開けようとしたとき複数の視線を感じたらしい。
振り返るといつもの顔ぶれがあったそうだが、確かに通常とは違っていたという。
そこには、生気がなかったらしい。
無表情でなにも言わず近付いてくるので、そのまま逃げてきてしまったとか。

「あれは、絶対に何かおかしいぜ!」
バドの話を聞いたゼルダはでも、と口をはさむ。
「ただのドッキリとかじゃないの?」
ゼルダの気の抜けた言葉にバドは大きく首をふる。
「いや、あれは違うね。何かに操られてるって言うか…」
その言葉を聞いて僕は窓の外を見る。
「まだ、大丈夫かな。」
「どうしたの、リンク?」
僕の言葉にゼルダは首をかしげた。
「ちょっと行ってくる。」
そう言って家のドアを開ける僕の服をゼルダが掴む。
「行くって、スカイロフトに!?今から!?」
ゼルダは暗くなったら危ない、と僕を引き止めた。
「すぐ帰るから大丈夫だよ。」
「じゃあ、せめて剣だけでも持って行って!」
そう言って、ゼルダは僕に剣を持たせる。
マスターソードを手放してから変わりにいつも使っている剣である。
「じゃあ、行ってきます」
ゼルダの気遣いに感謝しながら家を出た。
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