緑のしおりU
□終わりよければすべてよし
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〜空視点〜
「空!トワ!面白そうなダンジョン見つけた!」
時が食材探しから帰ってきたとたん、そう叫ぶように言った。
嬉しそうに顔をほころばせる時に、トワが眉をひそめる。
「ダンジョン?」
「うん、少し中を覗いたんだけど、どうせなら皆で行こうかなって思って。」
皆で言った方が面白いでしょ?と嬉しそうに笑ってみせた。
「面白いかはわからないけど、気になるね。」
僕が言えば、時はさらにその笑顔を輝かせる。
トワは呆れたようにため息をつくと苦笑いを浮かべた。
「……まあ、オレが反対したって行くことになるんだろうけど。」
「まあね。」
時はトワの言葉に何故か自慢げに胸を張る。
僕は机に立てかけてある剣を背負うと二人を見た。
「そうと決まれば早速行こうか。暗くなる前に。」
「そうだな。」
しぶしぶ、という感じでトワは立ち上がる。
そんなトワに時は今まで背負っていたマスターソードを押し付けた。
ちなみにマスターソードは一本しかないため、食材探しに行く担当の人が使うことになっている。
「え、何?」
「俺、少し疲れたからこれよろしく!」
「なんだよそれ……」
トワはまた呆れたように笑うと、素直にマスターソードを背負った。
時は満足げに頷くとニコリと笑う。
「じゃ、早速行こうか!」