黒子のバスケ

□始まりの冬
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「よし、今日の練習は終わりだ」

1年になって約9ヶ月。季節が秋から冬に変わり、練習が終わる頃には外はもう真っ暗になっていた。

帰り道、伊月や水戸部達と別れて木吉と2人になる。

「たく、毎日寒いな。しかも今日マフラー忘れちまったし」

「寒いなら、俺のマフラー使うか?」

「それじゃ、お前が寒いだろ」

「俺は寒さに強いから大丈夫だ。ほら、遠慮するな」

「悪いな」

木吉のオフホワイトのマフラーが首に巻かれる。

「はぁ…あったけぇ」
「今年ももうすぐ終わりだな」

「そうだな」

「来年には、後輩ができるのか」

「とりあえず部員増やさねぇと。来年は絶対にインターハイ行ってやる!」

「日向は本当にバスケが好きだな」

「当たり前だろ!てかお前だってそうだろ」
「まぁ、そうだけどさ。俺は、日向の方が好きだぞ」

「…はぁ?何言ってんだ?」

何でそうなるんだよ。
「本気だって」

「ふーん、まぁ俺はお前のこと嫌いだけどな」

「…そっか」

そっから何でか、木吉は一言も喋らなかった。

「じゃあ、また明日な日向」

「ああ」

木吉と別れ家までの道の途中で、木吉にマフラーを返し忘れたことに気付いた。

「ヤベッ…まぁ、明日でも良いか」

それにしても木吉のやつ、いきなり好きとか言いやがって。

あいつ、たまに真面目な顔でふざけたこと言うからな。


翌日―

「木吉、昨日マフラーそのまま持って帰っちまって悪かったな」

「いや、いいよ。…俺リコに呼ばれてるからじゃあな」

「ああ」

……

「木吉、帰ろうぜ」
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