黒子のバスケ
□1番好きなもの
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――恋って、何?
「テツく〜ん」
「おはようございます。桃井さん」
「朝一でテツくんに会えるなんて嬉しい」
「そうですか、それはどうも」
さっちんは、黒ちん「恋」をしてるらしい。
でも、それが何なのか俺には分からない。
「好き」の違いなんて、今まで考えたことなかったし。
皆に聞いても、よく分かんないこと言われるし…
辞書で調べても、「愛して思い慕うこと」なんて、もっと分かんないこと書いてあったし。
まず、俺お菓子以上に好きになったもんとかねーし。
「恋」は俺には難し過ぎる。
「俺の1番好きな人って言えば…赤ちん?」
1番仲良いし、好きなんだと思う。
だけど、別にドキドキとかはしない。
他の皆も同じ。
もしかしたら、俺には一生分かんないのかもしれない。
困らないし、別にいいけど。
「よし、今日はここまでだ」
部活が終わって、いつもならすぐに帰るはずだけど、今日は赤ちんと一緒に最後まで残った。
「どうした?紫原。お前が残っているなんて珍しいな」
「別にー、何となくだし。…ねぇ、赤ちん」
「ん、何だ?」
「赤ちんて、恋したことある?」
「急だな」
「どーなの?」
「ないな。必要だと思ったことないし、今はバスケに集中したいからな」
「ふーん」