黒子のバスケ
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「黒子…」
部活の休憩時間、顔を洗っていると後ろから声をかけられた。
「火神くん、何ですか?」
顔を拭いて火神くんの側に行くと、いきなり体を抱き締められた。
「ん、どうしたんですか?」
いくら付き合っているといっても、火神くんが学校でこんな事をするなんてほとんどないのに。
「いや、ちょっとな…何か急にお前の事抱き締めたくなって」
「…そうですか」
それならば火神くんが満足するまでこのままの方が良いだろう。
「黒子」
「はい?」
「キスしても良いか?」
「…良いですよ」
僕がそう言うと、火神くんが唇をそっと重ねてくる。
「ンッ…は」
触れるだけの優しいキス。
…彼のとは全然違う…
いや、駄目だ。彼と火神くんを比べては…
「…」
火神くんの唇が離れていく。
「…」
「黒子?」
火神くんと彼を比べてしまった罪悪感で目を逸らしてしまう。
「また、アイツの事考えてたのか?」
「…すみません」
謝ると、頭を撫でられた。
「良いって、アイツの事無理に忘れようとしなくて良いから」
火神くんは笑ってくれたけど、その笑顔の中には寂しさのようなまのが見えて、口では「はい」と言いながらも心のなかで再び「すみません」と謝る。