贈り物

□私の帰る場所
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「ここはどこなの?」
私は走っていた。ただただ、大切なものを探して。
「な、んで」
どれだけ、走っても、どこに言っても探し物は見つからない。ないと分かっているのに、私は走り続けた。
「嘘、でしょ…?!」
暗い森の中に一筋光が差し込む。導かれるように、私はそこに向けて無心に駆けていった。

「きゃぁ!」
光の中を抜けた瞬間、思い切りバランスを崩す。落ちる、そう思った時身体に浮遊間が訪れた。
「大丈夫か、アリス?」
頭に響くような低い声。それはとてもよく聞き覚えのあるものだ。
「ナイトメア、なの?」
相変わらず具合が悪そうな顔で私を抱えているのは、思った通り夢魔だった。
(じゃぁ、これは夢?)
気がつけば、周りはいつもナイトメアと話をする夢の空間だ。
「あぁ、これは夢だよ。ただの夢だ。さぁ、そろそろ目覚める時間だ」
そう言って、ナイトメアは自分の手でそっと私の目を塞いだ。
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