贈り物

□私の帰る場所
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「……っ」
ばっと飛び起きると、肩から何かが落ちる。
拾い上げたものは、暖かい毛布。
ユリウスがかけてくれたのかしら?
ユリウス……!
頭に浮かんだ言葉に慌てて辺りを見回す。
(いない、どうして……?)
いつも通りの時計塔の風景。常に時計の音が鳴り響く、穏やかな空間。
それなのにその部屋の主はいない。それだけでとてつもなく空っぽに感じてしまう。
夢じゃなかったの?また弾かれてしまったの…?そんな、ようやく会えたばかりなのに。頭の中を一気に不安が駆け巡る。

間違えなくここはユリウスの部屋だ。
出掛けているだけかもしれない。そう分かっていても、不安は溢れ出して、泣きそうな気持ちになる。
言いたいことが、あったのだ。
どうして、会ってすぐ伝えなかったのか。ベタな展開だと、行動を躊躇った自分が腹立たしい。

ーいつは離れるか分からない、って理解していたはずなのにー

それまで家族のように一緒に住んでた。でも、ある日引っ越しが起こり、突然理不尽にも引き離された。
そういう世界だ。分かっていたのに会えた嬉しさで、肝心な事を伝えていない。
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