信じること、願うことー長編ー

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草原に座って、本を読んでいる少年に向かって大きな声で呼んだ。
「テーツヤー!」
その声に反応した少年は、本から顔を上げこっちに向かって歩いて、目の前で止まりぺこりとお辞儀をした。
「凛音さん・・・・、どうもです」
「相変わらず、ふわふわした耳だね」
「触らせませんよ。触られるとくすぐったいので」
凄く嫌な目で見られ、頭にある耳を押さえた。

彼の名前は黒子テツヤ。人間と妖狐の半妖だそうだ。

「分かってるって、ていうかさっきまで何の本を読んでいたの?」
「屋敷に閉じ込めれた4人が力を合わせて外に脱出する、
というホラー的なお話です。」
「ほ、ホラー?」
テツヤの口から出た「ホラー」という単語に少しびくっとした。
「凛音さん、もしかしてホラーが嫌いなのですか?
陰陽師と言うものをやっているのに・・・」
「例え、陰陽師でも嫌いなものくらいあるじゃない。私の場合ホラー関係とグロ系は本当に苦手なんだよ!無理」
ホラー関係が苦手な私は出来れば陰陽師の仕事はしたくはないけど、陰陽師の家に生まれてしまったことには変わりはないので、
一応わりきっているつもりだ。
「あ、そういえばテツヤと出会ってからもう半年も経ってるんだね」
「そうなんですか?全然気が付きませんでした、
ここの時間の流れはゆっくりしているので・・・」


今から半年前・・・、季節が春に変わる3月上旬。
テツヤと私は出会った。
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