現代・室町
□裏SS
1ページ/1ページ
尾鉢
「ぁっ、や……あッ!」
気持ちの悪い喘ぎ声が部屋に響く。
色街の遊び女のような、高く細い声が。
恥ずかしさを感じるよりも早く快感が押し寄せて来て、もう、何もわからなくなる。
揺さぶられる身体、合わさった所から響くいやらしい水音、二人分の吐息、自分の喘ぎ声、汗と精液が混ざった臭い、衣擦れの音。
その全てが気持ち悪い。
そしてまた、意図せずに声が押し出される。
吐きそうだ。
「っ、三郎」
唯一気持ち悪さを感じない声が聞こえた。
馬鹿みたいに喘ぎながら、やっと、何だよと返す。
「ごめんね」
こんな酷いことして。
何度も何度も繰り返しそう謝る。
今更だとか思わなくもないが、なんか、どうでも良い。
謝るくらいなら、早くこの気持ち悪さから解放させてはくれないだろうか。
心の中で呟いたそれが聞こえたかのように、律動が激しくなった。
.