カゲプロ
□ハイスペックな彼と結びつくには1 (セトシン)
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「はぁー……」
自宅のパソコンの前に座って、俺、如月シンタローは、今日何回目になるであろうかため息をついた。
「どうしたんですかご主人。いつもの陰気くさい顔に今日は拍車がかかってますね!」
画面に飛び出してくるウザい存在は無視。
俺は今悩んでるんだよ、バーカ。
昔から悩みが少ない方といえば嘘になる俺だが、今のこの悩みは昔のそれとはちょっと違う。
「恋」、というものだ。
恋愛くらいならしたことある。
……あまり思い出したくない記憶だが。
あの時はノーマルだった。
普通に女の子が好きだったからな。
だが今回のは違うのだ。
好きになった相手は、周りが認めないというより、法律が認めない相手なのだから。
瀬戸幸助。
メカクシ団のナンバーツー。
名前からしてもわかるとおり、男である。
で、俺も男だ。
これはどういうことかわかるか?
そう、つまり……。
「BLですねご主人!ホモ!ほもぉ!」
画面から声がする。
「え、ぁ、はぁ!?」
なんでこのタイミングで!?
言っとくけどおれはホモじゃねぇぞ!
「え。ホモじゃないですか、だってご主人、セトさんのことがす」
「うわぁあぁぁぁああああああああああああああぁ!!!」
なんなんだこいつは…、俺の心を読んだっていうのか、まさか、エスパー!?
「ゴミクズですね、ご主人は。全部口に出してましたよ、瀬戸幸助―とか、俺はノーマルだー、とか。っていうか見ててもわかりますよー、ご主人顔に出やすいですもん。セトさんとしゃべるときとか、顔真っ赤ですもんね」
「え、マジ?っていうか!好きじゃないからな!」
「マジです。今更隠してもwwwバレバレww」
気づいてなかったとかwwwww
と草を生やして笑うエネに腹が立ったが、こいつが言ったことはすべて本当だ。
っていうか、これ本当ならセトも気づいてんじゃねぇの?
「告白はいつするんですか?」
核心を突いてくるエネの声。
俺はあからさまに肩がびくつくのが分かった。
「だから、好きじゃねぇって言ってんだろーが!」
「……そんなこと言ってるから、ゴミクズなんですよ、ご主人は」
「う、うっさいな、大体オッケーしてもらえるわけがねぇだろ、こんな引きニートでコミュ障の俺なんか…」
セトは優しい。
それはもちろんみんなに、平等にだ。
マリー、モモ、キドなどの女の子にはもちろん、俺みたいなやつにだって同じようにやさしく接してくれる。
そういうところが、好きだ。
………なんて、こんな恥ずかしいこと思ってないけど!!
「はいはいツンデレツンデレ」
「消すぞお前」