カゲプロ
□深夜電話 (セトシン)
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目が覚めてしまった。
といってもそれは朝ではなくて、夜の2時ごろ。
横になってごろごろしていたが、一向に睡魔が襲ってこない。
とりあえずアジトの一階に移動し、ケータイでもいじってみる。
こんなことをしてもただ目が覚めていくだけというのはわかっているのだが、なぜか眠れない。
カノでも起こそうか、と思ったが、さすがにそれは気が引けた。
(あ…)
いじっていたケータイのディスプレイに現れたのは、少し前に結ばれた、可愛い恋人の名前。
「何してるっすかねぇ、シンタローさん…」
寝てるだろ、と心の中でツッコミを入れつつ、精神は先程から画面の「如月シンタロー」の文字に集中されてしまっている。
電話、してみてもいいだろうか。
迷惑でしかないだろうけど。
でも、あの人のことだから、まだパソコンをいじっているかもしれない。
「……パソコンいじってるとこだったら、別に話すくらいいっすよね」
勝手な解釈で、セトは発信ボタンを押した。
ワンコール……ガチャ。
ワンコール目が終わるか終らないか、というところで相手は出た。
留守番かな、と思ったところに、
「……もしもし」
彼の声。
ワンコール目で出てくれたっていうことは、もしかして彼もずっと電話を待っていてくれたのだろうか。
どんどんポジティブな方に考えてしまうのは、俺の頭が悪いせいか、それとも。
「、シンタローさんっすか?」
まさか出てくれるとは思っていなかったせいもあって、声が上ずる。
受話器の向こうで、シンタローさんが息をのむのが分かった。
もしかしたら。
彼も自分と、同じ気持ちでいてくれたのかもしれない、なんて。
都合のいい解釈だろうか。
すいません、こんな夜中に…と、うわべだけで謝罪の言葉をかける。
もしそうなら、すごく、うれしい。
「……別にいいけど。なんかようかよ」
低い声で、そうつぶやかれる。
ああ、シンタローさんは気づいているだろうか。
照れたときや、恥ずかしいのをごまかすときなんかに、彼はそうやって低い声を出す。
照れているのだろうか。
自分も同じ気持ちだったと。
そう思ったとたん、可愛くてしょうがない衝動に駆られた。
もう、こんな時間に悪かったな、とか、そういう感情は一切消えていた。
「用、はないんすけどね…すいません、急に声が聞きたくなって」
そう、申し訳なさそうに告げれば、慌てた声が帰ってくる。
「っべ、つに!…た、たまにはいいんじゃないか、こういうのも」
かわいい。
俺が落ち込んでると思って、励ましてくれたんだろう。
言ってる途中でだんだん声が小さくなっているのは、恥ずかしくなったんだろうか。
こういうとこがあるから、シンタローさんは苛めてみたくなってしまう。
……あれ、俺って意外とS?
俺は小さく笑うと、電話の向こうで真っ赤になっているであろう可愛い恋人に、もう一度言葉をかけるのだ。
「そうっすね」
なんだこれorz
キャラつかめてない感満載w
→あとがき