ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□ショウカイ
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「で、なんで室蘭はお前らを狙ってるんだ?」
「単純に西東京制圧のためじゃないか? いくらアイツらでも東東京はそう簡単に手に入るものじゃないだろうし。」
「そうか、お前らとか西野がいれば百人力だもんな。」
「それでも、俺は室蘭の味方になるつもりはないから。」
「北大路がいなくなったら僕たち、これからどうしていいか分からないよ...。」
「なんだ? ずいぶんと信頼されてるじゃねえか。 元は神宮の手下だったくせに。」
「ここ数ヶ月、ずっとこいつらと一緒にいるからな。 それに、手下だったのは黄瀬さんだってそうだっただろ。 」
「ああ、そう言えばあの人もそうだったんだよな。」
「黄瀬ってそんなに凄かったの...?」
「すごいも何も、あの人は俺たちの憧れだよ。 それは室蘭も一緒さ。」
「そうそう。 俺たちが中坊だった頃に都内で相当暴れてたんだぜ? そんなあの人が神宮の仲間になったなんて知ったときには俺も驚いたよ。」
「俺はあくまで、あの人の後を追って神宮のところに入っただけだからな。 勘違いすんなよ。」
「はいはい。 お前の神宮アレルギーは異常だな。」
どうやら北大路は今でも神宮のことを相当嫌っているようである。
「まあ、今はマジ女とヤバクネの戦争も終わった直後だし、お前らはまず地盤を固めて、しっかりと内部を整理してくれ。」
「了解...。 おたべにも伝えておく...。」
「頼んだ。 いかんせん、俺はおたべとは会ったこともないもんでな。」
「おたべ?誰だそれ。」
九鬼はおたべのことを知らないようで、ストローでオレンジジュースを飲みながら不思議そうな顔をしている。
「ラッパッパの新部長だよ...。 前田敦子は知ってる...?」
「おう。 ちょっと前にラッパッパ荒らしまくってた女だろ?」
「そう...。 その前田が連れてきた京都からの転校生がおたべ...。 最初はみんな戸惑ってたけど、今になって前田があの子を部長に指名した理由が分かったよ...。」
「なに? めっちゃ喧嘩強いとか?」
「確かに、喧嘩は強いらしいよ...。 でも、なによりあの冷静さと確かな判断力は、雷斗や風魔でも勝てないかもしれないね...。」
「お前がそこまで買ってるってことは、相当なやつなんだろうな。」
「って言っても、僕も彼女のことはよく知らないんだ...。 ま、何かあったら会議に連れてくるよ...。」
「頼んだ。 俺としても、しっかりコミュニケーションは取っておきたいしな。」
「よし、じゃあ飯食うか! もち空雅の奢りでな!」
「お、おい...。 悠乃には奢るって言ったけど、お前には奢るなんて一言も言ってないぞ。」
「まあまあ固いこと言うなよ〜。 俺たちもう長い仲じゃんか〜。」
「だから奢らないって言ってんだよ。 なんでお前のほうが俺より偉くなってんだよ。」
「なに〜!? 俺はわざわざお前に協力してやってんだからな!?」
「はぁ!? お前が神宮についての真相が知りたいって言うからだろ!?」
「仲がよろしいようで...。」