ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□シュウゴウ
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カランカラン...。
ドアに付けられたベルが鳴り響くと、シブヤと友也の2人が全員の前へと姿を現した。
「来たか、シブヤ。」
「お待たせ、北大路。」
「皆さん、遅くなって申し訳ないです。」
「大丈夫だよ...。 僕たちも今来たところだし...。」
「.....。」
「.....。」
つい先日まで戦争をしていたマジ女、ヤバクネの両トップであるおたべとシブヤは無言でお互いを見つめ合っていた。
「...おたべや。 あの日以来やな?」
「シブヤだ。 ああ、そうだな。」
「今までは敵同士やったけど、これからは力を合わせて闘おうな?」
「こっちのセリフだよ。 よろしく。」
シブヤが手を差し伸べたことで、2人は固く握手をした。
「そういえば、シブヤと友也にも武蔵のことを紹介しないとな。」
北大路が思い出したかのように、武蔵に対してほら。と自己紹介を促した。
「九鬼武蔵だ。 北大路の中学の同級生で、コイツから協力を頼まれて手を貸してる。 よろしく。」
「ヤバクネのシブヤだ。 よろしく。」
「シブヤの弟の友也です。 よろしくお願いします。」
「よし、これで全員揃ったな?」
「うん...。 大丈夫...。」
「じゃあ、今の花鳥風月の実態について知らないやつもいるだろうから説明するk「俺たちを抜きでコソコソやるなんて寂しいじゃないか。」誰だ?」
北大路が話を始めようとしたところで、入口から誰かが入ってきた。
「俺だよ、俺。 まさか、鬼の首を取るつもりなのにその鬼の顔を忘れたとは言わないよな?」
「む、室蘭...。 それに、野崎...?」
「久しぶりだな空雅、武蔵。」
「元気だったか? 2人共...。」
やって来た男は紛れもない室蘭綺羅と、その右上である野崎輝本人であった。
想定外の事態に場の雰囲気が一気に重くなったのが悠乃は肌で感じられた。
「何をしに来た?」
「お前たちがコソコソと兵隊を集めてるって聞いてな? 偵察に西東京まで来たんだよ。」
「は...?」
あっけらかんとした室蘭の態度に、悠乃は拍子抜けをしてしまう。
「だから、お前らのことを見に来たんだよ。 俺たちは卑怯な手を使うのが大嫌いだからな。」
「歓迎ムードではないね。」
「当たり前だろ。」
悠乃たちは完全に殺気立っているが、室蘭と野崎からは全くそのようなものは感じられなかった。
「で、お前が桐ヶ谷悠乃だよね?」
「そうだよ...。」
「なんか、思ってたほどのオーラを感じないね。 なぁ、輝?」
「確かにね。 あの黄瀬さんが相当信頼してたみたいだから楽しみにして来たけど、正直期待外れだよ。」
「.....。」
容赦のない2人の言葉に、悠乃は黙り込んでしまう。
「なんだ、言い返しもしてこないのか。 これならお前らを潰すなんて簡単だな。 輝、帰るぞ。 来るだけ時間の無駄だったよ。」
「同感だよ...。」
吐き捨てるように強烈な言葉を浴びせると、2人は背中を向けた。
「ちょっと待ち!」
「おたべ...?」
「なんだ?」
「あんた、ウチのこと覚えてるか?」