ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□ヤンキーソウル
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-ラッパッパ部室-
『...明日17時、役場後で決着をつけよう。待ってる。』
部室に置かれた古いブラウン管テレビの中で、シブヤがマジ女に対して宣戦布告を突きつける内容のビデオレターが流れている。
「なるほどね...。 昨日シブヤが言ってたのはこういうことか...。」
「こんな映像作らんでも、カチコミかけたらよろしいのに。」
「上等だよ。」
「やるしかねえな。」
「けど、ヤバクネはあちこちのヤンキー校に助っ人頼んでるらしいぜ。」
「それだけ、マジ女にビビってるんだろ。」
「...じゃあ僕はもう行くよ...。 みんな、また明日...。」
「ああ。 待ってるで。」
「ばいばい...。」
ビデオレターを見終わった後、ラッパッパの全員と部室で別れた。
階段の途中でセンターとすれ違ったが、特に言葉は交わさずに彼女は階段を登っていった。
学校を出て、街へと出てくると、そこにはいつもとなんら変わらない風景が広がっていた。
「遂に明日か...。」
目の前へと迫った決戦のことを考え、思わず武者震いする。
「...悠乃?」
「ん...? おお、前田じゃん。 久しぶり。 どうしたの?ヤバクネの制服なんか着て。」
「うん。久しぶり。 まあ、色々あってね...。」
「色々、ね...。 ま、いっか。」
「てか、いきなりで悪いんだけど、ちょっと話せるかな?」
「いいよ。 じゃあ、場所を移そうか。」
-喫茶店-
「ここで大丈夫?」
「うん。」
「それで、話って?」
悠乃が話を切り出すと、前田は神妙な面持ちで話を始めた。
「...悠乃って、神宮が殺された事件と関わってるんでしょ?」
「まあ、ね...。 それがどうしたの?」
「私が人の事を言えた柄じゃないんだけど、悠乃、その件で警察にマークされてるみたい。」
「え...? 俺が...?」
「うん。 私も風の噂で聞いたレベルなんだけど、事件の重要参考人とかなんとか...。」
プルルルル...!
前田の話を聞いていると,悠乃の携帯電話が鳴り響き、画面には北大路の名前が表示されていた。
「ごめん、俺のだわ。 もしもし? どうした?」
『悠乃!お前今どこにいる!?』