ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□ユウジョウ
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-マジ女-
13時過ぎ...。
悠乃は昼過ぎにゆっくりとマジ女に向かっていた。
「来るなら来てみろコノヤロー!」
学校に近づくたび、いつも通りに怒号が聞こえてくるが、その声には聞き覚えがあった。
ドンッ...!
通りを曲がると、向こうから走ってきた誰かとぶつかった。
「うおっ!? 痛えじゃねえか! いきなり飛び出してくんなよ!!」
「ごめんなさい...。 僕の不注意で... ってダンスちゃん...?」
「悠乃さん!? こ、これは失礼しました!!」
「いやいや、こっちごそごめんね...。 怪我は... もうシブヤに殴られてたか...。」
ダンスの顔を見ると、鼻血を止めるためのティッシュが鼻に詰められていた。
またいつも通りなにかヘマをして、シブヤに殴られてしまったのだろう。
「えへへ... お恥ずかしながら...。」
「それにしてもこんなとこでどうしたの...?」
悠乃が疑問を抱くのも当然である。
なんて言ったって、ここはマジ女の裏にある通りで、ダンスが通っているヤバクネとは昔から犬猿の仲として知られている学校だからだ。
それに、抗争の真っ最中である今、彼女がここにいるということは違和感を感じざるを得なかった。
「いや... まぁ... ちょっとシブヤさんにお使いを頼まれまして...。」
「パシリ...? この近くになにかあるの...?」
「その... 色々と... あ!もうこんな時間か〜! 早く帰らないとシブヤさんにまた怒られちゃう〜!」
「そ、そっか...。 引き止めて悪かったね...。」
「いえいえ! こちらこそいきなりぶつかってしまってすみませんでした! じゃあ、失礼しますね!!」
そう言って、ダンスは焦りながら悠乃の前から走り去って行った。
「あの子、絶対になにか隠してるよな...。 ずっと棒読みだったし...。」
悠乃は彼女の動きを見て、なにかを予感していた。