ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜

□エキマエ
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-駅前-


悠乃は、ネズミと電話で話をしながら前田敦子を探しに駅前へと出て来ていた。


「(前田敦子...さん...。)」


必死にその姿を探す悠乃だが、彼は前田敦子とは面識がなく、もちろん顔も知らないのである。


「ねぇ、ネズミ...。 僕、前田さんに会ったこともないから誰が前田さんか分からないよ...。」


『大丈夫。 お前くらいになれば、会っただけで分かるはずだ。』


「そんなこと言われても...。」


その後もネズミに見た目の特徴を聞き出そうとするが、悠乃なら分かる。の一点張りで、最終的にしつこいと言われ、電話を切られてしまった。


悠乃は、多少の煩わしさを感じながらも、駅前で前田敦子の姿を探し続ける。


「(マジ女の生徒だったら、制服で分かるよね...。)」


ひとまずバスのロータリーにあるベンチに座った悠乃は、マジ女の制服を着た学生を探し始めた。


「(あの制服は...ヤバ女か...。 あれはマジ女だけど、そんなに強い人にも見えないし...。)」


ネズミは簡単に見つかると言っていたが、前田敦子探しは思ったより難航していた。


「(何処にいるんだろう...。 っていうか、まだ駅前にいるのかなぁ...。)」


ネズミからの電話があったのは、もう5分以上前で、今でも前田敦子が駅前にいる保証なんてどこにもなかった。


後5分探して、それっぽい人が見つからなかったら帰ろう。と決めてから少しした時だ。


「隣、いいですか?」


マジ女の制服、肩ほどまで伸びた黒い髪、潰れていない綺麗な学生鞄を持った女性が、悠乃の隣に座ろうとしていた。


「ど、どうぞ...。」


変わった風貌のその女性に、悠乃は思わずたじろいでしまう。


「どうも...。」


女性は悠乃に軽く会釈をして隣に座った。


その時だった...。


バチバチッ...!


「!?」


悠乃の頭の中に、忘れかけていた闘争本能が燃えたぎり始める。


隣で本を読んでいる彼女を見ると、その炎はより力を増しているように感じた。


「(そうか...。 ネズミちゃんが言っていたのはこういうことだったのか...。)」


悠乃は初めてネズミが自信たっぷりに言っていた言葉の意味を理解した。



ああ、隣に座るこの女性が探し求めていた前田敦子本人なのだと...。
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