ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□ハナシ
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-ラッパッパ部室-
おたべから電話で呼び出されて、ラッパッパの部室までやって来た。
部室の中には、学ランとゲキカラが待っていて、悠乃に座っておたべを待っているよう促した。
久しぶりに来た部室を見回してみると、去年とはインテリアがずいぶんと変わっている。
「遅くなって、悪いな。」
「いえ...。」
なにか外で用事があったのか、おたべは悠乃の後に部室に入ってきた。
「めんどくさい話は好きやないから単刀直入に聞くわ。 君、前田を倒したやろ?」
昨日のタイマンの情報は既に出回っているようだった。
「ええ、まあ...。」
「ということは、君はラッパッパの敵ってことやな?」
「...分からない。」
「え?」
悠乃は俯きながらそう答える。
「去年の僕は、優子を倒して、ラッパッパの部長... つまり、このマジ女のテッペンに立とうと思ってた...。」
「.....。」
おたべは、悠乃の話を黙って聞いている。
「でも、それは優子だから倒したいって思ってただけで、僕は今のラッパッパには倒す価値がないと思ってる...。」
「それは俺たちには相手するほどの価値はねえって言いてえのか...!?」
話を聞いていた学ランが、頭に来たのか、怒号をあげる。
「まあ落ち着き。 やけど、なかなか言うな...。」
「傷ついたらごめんなさい...。 でも、今のラッパッパは弱すぎるんですよ...。 だから、僕は珠理... センターとネズミを応援したいと思ってる...。」
「あの2人か...。」
「僕は昨日、あの2人のために前田を倒した...。 でも、これ以上は彼女たちに協力する気もないし、彼女たちと一緒に闘う気もない...。」
「つまり?」
「彼女たちがラッパッパのテッペンに立ったら、僕がその席を奪いにくるよ...。 昨日以来、僕と2人は敵同士になったんだ...。」
悠乃は、おたべが腰をかけている部長専用のソファを見ながら言い放った。
「.....。」
「じゃあ、僕はこれで失礼します...。」
「ちょっと待ち。」
「?」
おたべに声をかけられて振り返る。
「あんたに1つだけ頼みごとがある。」
「頼みごと...?」