ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜
□ハナシ
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-翌日-
-体育館-
校内でとくに行く所のない悠乃は、1人になれる体育館のソファで寝転がっていた。
「室蘭... 綺羅か...。」
昨日の話を思い出して、どんな人物かを想像する。
「(ハマの王子っていうくらいだから、やっぱりお金持ちでイケメンで紳士でお坊っちゃまで...。 あぁ、なんかイライラしてきた...。)」
「お〜い! 悠乃!」
「ぶん殴... ああ、美奈ちゃん...。 おはよ...。」
「今なんて?」
「い、いや、テレビゲームの敵の話...。」
「? まあいっか。 昨日はよく寝れた?」
室蘭への怒りを口にしかけたが、うまく誤魔化すことができたようだ。
「うん...。 でも、まだちょっと眠いや...。」
「そっか。 じゃあ久しぶりに膝枕してやるよ。」
「ありがと...。」
「何ヶ月ぶりだろうな。」
「分かんない...。」
「お互い、色々あったな...。」
「うん...。」
「私でよければいつでも一緒にいてあげるよ...。」
「ありがと...。 美奈ちゃんはいつも僕のことを助けてくれてたよね...。」
「そうだったか?」
「うん...。 初めて学校に来て、教室でビビってた僕に声かけてくれたのも三奈ちゃんだし、学校のこと色々教えてくれたのも美奈ちゃんだったし...。」
「そういえばそうだったな...。 でも、私たちダチなんだから、それくらい当たり前でしょ!」
満面の笑みで、彼女はそう言い切った。
「ふふ...。 そっか、そうだったよね...。」
「おう! だから、悠乃が辛そうにしてたら、私は悠乃のことを助けるよ!」
「じゃあ、僕も美奈ちゃんのこと助けるね...。」
「ありがとな!」
プルルルルルル...。
「僕のケータイだ...。 ちょっとごめん...。」
「おう。」
美奈の膝枕から起き上がり、席を外す。
「もしもし...?」
『これ、悠乃くんのケータイで合ってるな?』
電話先からは関西訛りの言葉を話す女性の声が聞こえた。
「そうですけど... 誰ですか...?」
『名乗るのが遅れたわ。 ウチはおたべ。 ラッパッパの新部長をやらしてもらってます。』