ヒトリノオトコノコ 〜第2章〜

□ハナシ
2ページ/10ページ

-翌日-


-体育館-


校内でとくに行く所のない悠乃は、1人になれる体育館のソファで寝転がっていた。


「室蘭... 綺羅か...。」


昨日の話を思い出して、どんな人物かを想像する。


「(ハマの王子っていうくらいだから、やっぱりお金持ちでイケメンで紳士でお坊っちゃまで...。 あぁ、なんかイライラしてきた...。)」


「お〜い! 悠乃!」


「ぶん殴... ああ、美奈ちゃん...。 おはよ...。」


「今なんて?」


「い、いや、テレビゲームの敵の話...。」


「? まあいっか。 昨日はよく寝れた?」


室蘭への怒りを口にしかけたが、うまく誤魔化すことができたようだ。


「うん...。 でも、まだちょっと眠いや...。」


「そっか。 じゃあ久しぶりに膝枕してやるよ。」


「ありがと...。」







「何ヶ月ぶりだろうな。」


「分かんない...。」


「お互い、色々あったな...。」


「うん...。」


「私でよければいつでも一緒にいてあげるよ...。」


「ありがと...。 美奈ちゃんはいつも僕のことを助けてくれてたよね...。」


「そうだったか?」


「うん...。 初めて学校に来て、教室でビビってた僕に声かけてくれたのも三奈ちゃんだし、学校のこと色々教えてくれたのも美奈ちゃんだったし...。」


「そういえばそうだったな...。 でも、私たちダチなんだから、それくらい当たり前でしょ!」


満面の笑みで、彼女はそう言い切った。


「ふふ...。 そっか、そうだったよね...。」


「おう! だから、悠乃が辛そうにしてたら、私は悠乃のことを助けるよ!」


「じゃあ、僕も美奈ちゃんのこと助けるね...。」


「ありがとな!」



プルルルルルル...。


「僕のケータイだ...。 ちょっとごめん...。」


「おう。」


美奈の膝枕から起き上がり、席を外す。


「もしもし...?」


『これ、悠乃くんのケータイで合ってるな?』


電話先からは関西訛りの言葉を話す女性の声が聞こえた。


「そうですけど... 誰ですか...?」


『名乗るのが遅れたわ。 ウチはおたべ。 ラッパッパの新部長をやらしてもらってます。』
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ