「兄貴、このCP最高だから!
兄貴にオススメだよ」
無表情を微かに和らげながら言った我が妹は、お世辞抜きで可愛いと思う。
「おいおい、公共の場でンな会話するなよ…場をわきまえろ。
てか、何で中学生のオマエがここにいんの?」
可愛い妹にツッコミを入れているのは…ん?
誰だっけ、コイツ?
「うわ、ひっでェー
今、“誰だっけ、コイツ?”とか思ったろ
酷すぎだわ!」
コイツは常に無表情な俺達兄妹の思っていることを良く当ててくる
…俺はノンケだ
「いや、オレもだからね?」
「兄貴はやらん
…兄貴は僕様のモノだ」
「だから違う!
てか、さり気なく本音漏らすな!」
今日も今日とて、平和だ
明日も明後日も、明明後日も平和なんだろうな
「おい、現実に目を向けろ!」
「大丈夫だ、問題ない」
そう、俺はこの平凡でいて平和な日々がこれからも続くことを信じて疑っていなかった。
「兄貴、愛してるよ」
「嗚呼、俺もだ」
だが、そんな平和は
呆気なく崩れ去ることになる。
この時の俺はまだ、そんなことも知らず
ただ幸福を貪っていた。
(歯車はゆっくりと廻り出す)