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□にまにま
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そわそわ
そわそわそわ





「うるさいです」

「何も言ってねぇよ」

「存在がうるさいです」

「あぁ出ちゃうんだろうな、俺の内なる魅力が身体の外に」


両手を上に向けて、肩をすくめ仰いでみせる。
やれやれと髪を掻き上げ、不自然な程大袈裟に椅子に腰掛け足を組んだり下ろしたり。


「いやいやさっきからソワソワして、何か言いたいことがあるならどうぞ」

「そりゃ、男なら手作りのほうが嬉しいに決まってるだろ」


あぁ、きっと彼は頭をどこかにぶつけたに違いない。
可哀想なことに今、彼に掛けれる言葉は何もない。
にこりと微笑み、さりげなく椅子を引いて距離を置く。心の距離も。


「あ、そういえば例の件どうでしたか?」

「ん?」

「ほら、総隊長へ出す虚退治についての書類の、」

「ああ、虫歯なら完璧に治したから大丈夫だ。安心しろ」

「は?」


半年も甘いもの食べてないんだ、と付け足す檜佐木。
どうりで頭の回転が悪いわけだ。


「言っときますけど、今年バレンタインチョコないですよ」

「おいおーい嘘つくと泥棒の始まりなんだぞ、この恋泥棒」

「七緒さんがチョコレート廃止案を作ったんですよ」

「なんで!?」

「貰う人と貰えない人の差がありすぎて、貰えない人が可哀想だという事で。差別禁止です」

「そんなモテねぇ奴らほっとけ!」

「貴方もですよ」


ぐさりと胸に矢が刺さったまま四つん這いの姿勢でガックリと肩を落とす。
あのままだと地面にのめり込む勢いだ。


「でも、檜佐木副隊長にはお世話になってますし義理チョコで良ければお渡ししますよ」

「マジで!」

「義理ですよ、義理」

「照れんな照れんな、素直じゃねぇなオイ」

「・・・」

「お返しは俺の苗字でいいか?」

「いらん」





END

七緒さんと京楽隊長も同じことやってると思います。

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