星瞬月輝−雪の章−
□† 終わりの始まり
1ページ/6ページ
始まりの音がする、春。
いつもの退屈な…しかし平和で、普通で、少しだけ寂しい毎日は―――
夜桜の下で
唐突に
終わりを告げた。
不思議な出会いが
日常に
絡まっていく。
《…大丈夫か》
自分の内から、気遣うような声が聞こえて。
ああ、感情が乏しいだなんて…と、こんなにも優しいではないか…と、少し目を見開いた後。
なぜか温かいものが込み上げてきて、それが瞳から零れそうだったから、目を閉じた。
〈うん〉
心に直接声をかけられたから、同じように応えた。
多分伝わったのだろう。
〈……行こう
―――六花〉
そして
私だけの物語が
始まる。
.