青空の書庫

□水切り
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自分の中の
一輪の花が
萎えうなだれて
いるとき

思い切って
ほとんどの
葉を取り去ってみる。

悩みのつめたい水に
己を浸して、
よく切れる鋏の刃を
斜めに当てて、
ぴしっ、
と茎を剪るのだ。

いちばん大事なことは
何か。
本質だけが、
わたしの内に
滲み透って
まっすぐに
上がっていくように。

水は低きにばかりは
流れない。

自分の一部を
痛みと共に剪れるか。

苦悩そのものを
水のように
吸い上げることで、
わたしの精神の背骨は
瑞々しく
凛と立つ
あの一輪の白い
冬の花のようには
なれないか。



2010年12月9日

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