skyward

□背後の空 II
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一冊すべて読んだ訳ではないのですが、
「雪」の中で、心に残ったことをいくつか。


雪の結晶は、よく画として描かれる、六花と呼ばれる完全な美しい形のものばかりではないこと。
むしろ、そういう結晶はごく一部で、多種多様な
かたちがあること。
本の中に、写真と図版がありますが、まさにその通りでした。


まるで、人間の個性のようだと、思いました。

      *

雪の結晶ができるには、核になるものが必要であること。大気中の、目に見えないほどの微細な塵が、その芯の役割を果たします。

人間も、そう。
そのひとの、核心となるものは、
簡単には、目に見えない。
そのひとを、
理解することとは、
耳に聴こえる言葉から、
目に映る行為から、
目には見えない、
そのひとをかたちづくる

核心を見出だすことでは
ないだろうか。

      *

雪の結晶の核となる大気の塵は、
青空をも生み出すこと。
塵によって散乱された太陽光のうち、
波長が短く散乱されやすい青い光が、
空の青(蒼)として、
人の目に映る。
大気の塵がなければ、雪の結晶も、蒼空も、
私達は見ることはできない。

中谷博士は、「雪」の中で語るのです。


グラハムの愛した、蒼空の存在する訳。
科学の常識なのだろうけれど、この「雪」という本の中で、雪の結晶のことと共に、中谷博士が語られると、不思議と心の深いところに染み入るような気がしました。
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