青空の書庫
□詩編・未完の友に
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I
あなたの友と
呼ぶことを
自分にゆるさなくても
またいつか
ひとりにもどると
わかっていても
あなたの
おもいを
まもりたかった
2010年9月17日
II
するどい ことばが
薄い刃のように
心臓と肺のあいだに
ひやりと すべりこむ
ながれた涙は
自分のいたみでは
なかった
あなたの 刃が
いたみ そのもの
だった
2010年9月21日
III
いちにち のなかで
ひそかに
くりかえされる
数十秒にも満たない
号泣
言葉になろうともがく
言葉が
ぎっしり つまった
沈黙
それでも
あのひとの
かなしみ と
くやしさ の
ふかさ に
とどくことは、ない。
じぶん の
かなしみ は
いまは すこし
とおくに おいて
あのひとの
こころに 棲む
たいせつ な
ひとを
まもろう。
2010年9月24日
IV
あなたが
ひとり だと
かんじるとき だけ
あなたのもとへ
行って
話したく なる
あなたの ことばに
聞き入り
こたえる ことばを
いつも
もどかしく
さがして いた
ただ それだけの
友
2010年10月12日
V
あなたの
いう とおり です。
ひとは
己のために
生きるしかない。
わたしも、そうです。
それでも
そんな人生だから こそ、
せめて
己 以外の
だれか ひとりに
でも いい
じぶんの なかの
いたみを ともなう
なにかを
裂いて
差し出す ことは
できないか と
ねがった。
あなたの
いう とおり だと
たじろぎ、
落涙するほど
おもい ながら
それを
しずかに
くつがえし たかった。
あなたに、
というよりは
じぶん に
抗い、
挑む、ために
今 も
ひそか に
無謀に、
企て つづけて
いるのです。
2010年10月18日