青空の書庫

□光さえ通っていれば。
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たとえそれが
暗い箱に開けた
錐の先ほどに
狭い、
この世界に
たったひとりの
ものでしかない
見方だとしても。

まっすぐに、
光さえ 通っていれば。

その向こうにいる
存在を
傷つけられた者に
微かな光を
届けようと
いうのならば。

宇宙は
その居場所を
ゆるすのでは
ないだろうか。


そこは
蒼空のもと
風が行き交う、

捜し出し
辿り着く者は
数少なく、

不器用な
伝えようとする
言葉だけを
たずさえて
訪う場所。


ひび割れた地の
爪痕のように、
消えることのない
怒りが、
悔しさが、
深く
刻み込まれていても

傷つけ、
壊すことで
こたえるのではなく

この血肉を通した
苦しみの言葉を
差し出して

その先に
確かに存在する
傷ついた魂に

帰るべき
ふるさとを
与えるように
遠い星ほどの光を
届ける意志を
持ちつづけるのならば。

まっすぐに
光さえ 通っていれば。

たったひとりの
抗いが、
相寄る光を
呼びはしないか。

光を、
貫きつづけること と
引き換えに

宇宙は
その微光の、
あつまる場所を
ゆるしは
しないだろうか。



2011年1月6日

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