■はろうぃんぱーてぃー☆ ハロウィンなんて騒ぎたいヤロー共のイベントの一環で俺には縁もゆかりもないと考えていたんだけど、リボーンさんの招集によって催されることになった。 「衣装は採点するゾ☆」の一言からビリには恐ろしい罰ゲームが与えられるだろうと予想され、十代目と野球バカ共々、頭を悩ませながらハロウィン用の仮装を揃えた。 そして、迎えた当日。 「山本、すげー自虐的…」 「そっか?これかっこよくねぇ?」 そう言って自分を指差した山本の頭には刀が刺さっている。落武者がテーマらしい。 「おお、テメェにはそれがお似合いだ」 「だろー」 「あは、あはは…。獄寺くんはカッコいいねぇ」 「ありがとうございます10代目!」 大して費用はかけてねぇけど、10代目に褒められればすげー気合いが入る。 赤インクで所々染めたサラシを巻いて、黒のワイシャツに適当なアクセと付け牙をつけた狼男コスだ。 月末であんまり手持ちがなかったからこうなったんだけど。 「10代目が一番輝いてます!最高です可愛いです!」 「ははっ、確かにツナは可愛い系だよなー」 「バカにされると思ったー!母さんに任せたらこうなったんだよっ」 なんて仰るけれど、一家に一台は欲しいくらいの可愛らしさです10代目。 10代目の髪色に合わせた猫耳にオレンジのリボン、全身がモフモフの毛で被われた着ぐるみを着てらっしゃった。 顔にはマジックで髭が描いてある。 「うう、ぜったい俺が最下位だよ…。リボーンになにされんのかすげー怖いんだけど」 「ンなことあり得ません!トッブに決まってます!」 「みんな気合い入ってそうだよなー」 10代目の部屋でダベってたら、笹川がひょっこり顔を覗かせた。 「わぁ、みんなすごいねー!」 「き…京子ちゃんっ」 10代目は耳まで真っ赤になられた。 それもそうだろう。俺と山本も思わず見入ってしまったくらいだし。 ピンクのトンガリ帽子にスパンコールがちりばめられたキャミソールは鎖骨の辺りから肩まで露になっていた。 ロングの手袋を身に付けて星があしらわれた杖を持ち、ふんわりパニエとニーハイを合わせたかなり大胆な姿は仮装ならではといったところか。 「…ハロウィン、ぱねぇな」 「なー。よかったなツナ!」 「…え?あ、うん…」 10代目はまだポケーッとされていた。 健全たる男子にとって、女子のきわどい衣装はかなり目の保養になるのは間違いない。 「やっぱ女子はいいよなー。似合ってんぜ、笹川」 「う、うん!凄く可愛いよ京子ちゃんっ」 「山本くんもツナくんもありがとう。皆もすっごく似合ってるよ!なんだか仮装するだけで楽しいよねー」 ――って待てよ。 もしかして、あのアホ女も…? 今日はハロウィン。普段おとなしめな笹川でさえ、肌の露出が多い仮装をしている。 まさか、とは思うがあいつは割とスタイルがいいしあの手のファッションも絶対に似合うだろう。 笹川と仲がいいから色違いのお揃いってことも考えられる。 二人が並んで歩けば、男どもの格好の餌食になりそうだ。 確かに生で見てみたい気もするけど、なんつーか、他のやつらにハルのああいう姿を見られるのは……正直、いやだ。 他の女がする分にはいくらでもどうぞって思うのに、ハルがするんだと想像するだけでムカムカしてきた。 とか考えてたら、一階から「はひー!」とアホの声が聞こえて俺は思わず立ち上がった。 10代目が不思議そうに俺を見返してくる。 「獄寺くん?どうかしたの」 「お、ハルが来たんじゃねえの獄寺。どんなか楽しみなのなー」 「テメェが楽しみにすんな野球バカっ!」 ドタバタと階段を掛け上がる音に全身が強張る。 こンのアホ!急いでこっち来るんじゃねえよっ! バン!と勢いよく開け放たれたドアから現れたハルは息を切らして入ってきた。 「皆さん、もうお揃いなんですかっ!?」 「わああぁーっ!ハル、お前入ってくんなっ……」 |